チベットの瞑想

● チベットの瞑想の歴史

チベットの宗教には、古代からチベットの民族宗教であるポン教と、8世紀の後半に伝来した仏教が、チベット仏教として、ニンマ派、カギュー派、サキャ派、ゲルク派の五つの宗派となり、そのそれぞれに瞑想法があります。

9世紀の中頃に、統一王国崩壊とともに、占いや魔法などに堕落したチベット仏教界ですが、11世紀にインドから招かれたアティーシャという名僧によって、チベットの仏教は再興され、その後、ミラレパやツォンカパなどたくさんの偉大な人物によって、継承発展してきました。

1950年の中国の侵攻によりチベットの仏教僧たちは、インド、ネパール、欧米などに亡命して、チベット仏教とその瞑想法は、世界中に広まりました。

●チベット瞑想の種類

自己愛着という病に対して、ハートの本質のひとつである慈悲につながることが、究極的な癒しになるとチベット仏教では考えて、そのための処方箋を実に豊富に用意して います。

チベット仏教の最高指導者ダライラマは、「少なくとも、他者を害することのないよう気 をつけましょう。できれば、他者の幸せのために努力しましょう」というメッセージをい つも発しています。

大乗仏教徒というのは、生きとし生けるもの全ての幸せのために、自分自身が仏陀の境地を目指して努力することが生き方の指標ですが、呼吸、心の本性、概念、視覚化したイメージ等に心を一点集中させる鎮静的瞑想や、知的思考や創造的思考を利用する分析的瞑想などがチベットでは行われます。

鎮静的な瞑想は、注意深さを養い、心を落ち着かせるための修行です。 分析的瞑想は、事物の在り方、生死、苦しみ、慈悲などについての思い込みを綿密に観察し、分析します。

また光の身体や菩薩の姿をイメージする観想の瞑想もたくさんあります。

慈悲の心を深める訓練として「ロジョン」と言う教えは伝統的です。 「ロジョン」とは、「心の訓練」と言う意味です。 生きとし生けるものの全てを心から大切に思うこと、そして全ての悪い要素の根が、自己愛 着にあると言う点を強く認識するための訓練です。

「ロジョン」には、沢山の慈悲の気持ちを養うためのイメージトレーニングがありますが、 日本でもよく知られる代表的なものに「トンレン」と呼ばれるものがあります。

「トンレン」とは、呼吸に乗せて他者の悪い要素を自分に引き受け、自分の良い要素を他 者に与えるという瞑想です。

ユニティインスティテュートのリーラが編集したOSHOトランスフォーメーションカードのな かで、OSHOがチベットの神秘家アティーシャの瞑想として紹介しています。

アティーシャ瞑想=トンレンはまさに自己愛着から離れて、慈悲につながる瞑想です。

ダライラマ法王も毎日行っていることで有名で、アメリカでは尼師のペマ チョドロンによて紹介されて一般に広まり、ホスピスで働く人や、重病人の看護師に適した手段とされています。

その他チベット仏教には、マハムードラ瞑想、金剛乗瞑想(ヴァジュラヤーナ)、ゾクチェン瞑想といったチベット密教独自の瞑想法も発展しています。

「マハームドラー」をアメリカに紹介したチョギャム・トゥルンパ師は、無宗教・超宗教なアプローチを行い、多くの人たちに影響を与えました。

トゥルパの教えた瞑想の中心は、ありのままに気づき、自己の本来に戻ることです。

心の本質が、内にも外にもなく、空であることを理解するのが、「マハームドラー」です。

「ゾクチェン」の教えは、チベットにおいては、おもに、ニンマ派とボン教の二つの流れを通じて伝承されてきました。

「ゾクチェン」をアメリカに紹介したタルタン・トゥルクも、チベット仏教の伝統に即した活動をするだけではなく、現代的で総合的なアプローチも行いました。

ナムカイ・ノルブは、イタリアのナポリ大学で研究を行い、ゾクチェンの瞑想指導者として活躍しています。

ゾクチェンにはたくさんの修行がありますが、空を見つめながら瞑想が有名です。

またアメリカの人類学者W.Y.エヴァンス・ヴェンツが、「チベットの死者の書」として紹介した「バルド・ソドル」というチベットの経典は、深層心理学者カール・ユングが絶賛しことで有名になり、変性意識の研究や臨死体験の研究としても応用されています。

チベットでは、実際に死が訪れると、49日間、死者のかたわらでその人の瞑想の先生が死者を導き、このバルド・ソドルを読み聴かせます。

「チベットの死者の書(バルドソドル)」はチベットの世界への最大の貢献だ」 とインドの神秘家OSHOは語っています。

「だが、それはすでに2500年前のものなので、現代にあったものにする必要がある」 とも。

長年OSHOのもとで瞑想したイギリス人女性のマニーシャ ジェームスは、死に寄り添う看護師の経験から、チベット死者の書を現代風にアレンジし、「OSHOバルド瞑想」を創り出しました。 それは、意識的に生き、意識的に死ぬための瞑想です。

●チベットの瞑想のやり方

トンレン

たくさんあるチベットの瞑想のなかから、慈悲の瞑想として有名な「トンレン」のやり方を紹介します。

「トンレン」とは、チベット語で、「受け取り 与える」という意味です。

呼吸に乗せて、吸う息で、苦しみを吸い込み、吐く息で、喜びを吐き出します。生きとし生けるものすべての苦しみを吸い込み、喜びにして吐き出します。

OSHOは、トンレンを教えたアティーシャについての本「ブック・オブ・ウィズダム(邦題「 知恵の書 」市民出版社)で、 「ハートに苦 しみを吸い込み、喜びとして送り出しなさい。呼吸とともに、ハートに苦しみを吸い込み、喜びを吐 き出しなさい」 と解説しました。

ハートには、どんな苦しみをも変容する魔法のスペースがあるからです。 ハートに呼吸すれば、吸い込む息で、ハートのエネルギーは拡大して、吐く息でくつろいで 中心に帰って行きます。

ハートのエネルギーが大きくなればなるほど、中心のスペースも広がってゆきます。

正確には、ハートの中心のスペースが広がると、そのスペースは、苦しみを招待して、歓迎 することができるのです。 ハートが開けば、苦しみを受け容れ、抱きしめることが起こるのです。

ハートの中心のスペースは、どんなネガティブに思えるフィーリングも変容する力を持って います。

1000年前のアティーシャの時代や、素朴なチベット人は、苦しみを吸い込んで喜びにして吐きだすことが可能かもしれませんが、頭で生きている現代人は、まずハートにつながることから始める必要があります。

そして、もうひとOSHOが注意していることは、「世界全体の苦しみを吸い込む前に、まず自分の苦しみを吸い込んで、変容させること」 だと言っています。

●チベット瞑想の効果

利他心を育てるチベット仏教の瞑想のなかでも、トンレンは「恐れない態度」、つねに「こころをオープンにする」ことを訓練すると、ペマ チョドロンは語っています。

共感能力を高め、鬱や罪悪感の減少に効果的だという報告もあります。

自己への愛着を減らし、慈悲心につながることができるようになります。

トンレンを毎日行なっていると言われているダライ・ラマ十四世もこう語っています。

この瞑想は、現実に他者を助ける効果があるかないかはともかく、私の心に安らぎを与えてくれる。私はより実践的になることができ、その恩恵は計り知れない

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